G-SHOCKの最高峰コレクション【MR-G】の魅力を深掘り!スタッフおすすめの厳選モデルもご紹介
日本が世界に誇る腕時計として最も有名で、最も愛用者が多いブランドはG-SHOCKと言えるのではないでしょうか。
1983年に「落としても壊れない丈夫な時計」というひとつのシンプルなアイデアから始まったカシオの腕時計G-SHOCKは、誕生から40年を超えた現在もファンを増やし続けています。
G-SHOCKには様々なバリエーションがあり、その機能や価格帯も様々ですが、G-SHOCKの最高峰コレクションとして君臨するのが1996年に誕生した「MR-G」です。ブランドの頂点たるに相応しく、価格は30万円台以上(2024年9月現在)とスイスの高級ブランド時計に劣りません。

価格を見ただけだと驚きの第一印象のあと、日常で気兼ねなく使うはずのG-SHOCKにそこまでの対価を支払うことに慎重になってしまう方もいらっしゃるだろうと思います。
しかしMR-Gを表現する際に「高額なG-SHOCK」という一言で済ませてしまっていいのか、今回はMR-Gに込められたカシオ開発陣のこだわりを掘り下げていき、その本質を探っていきます。
MR-Gの誕生
MR-GはG-SHOCK初のフルメタルウォッチとして1996年に販売をスタートしました。しかしその1号機が発売されるまでは順風満帆とはいかなかったようです。
初代G-SHOCKを生み出したことで知られるカシオの伊部菊雄氏は、90年代初頭に「みんなが本当に欲しい時計を一緒に作ろう」と新プロジェクトを立ち上げますが、当初は会社の認可が下りず、業務時間外に有志で集まったメンバーでの作業進行でした。
プロジェクトメンバーが描いた青写真は「壊れない金属製の時計」。それまでにカシオの低価格帯の腕時計でメタルウォッチが存在していましたが、当然G-SHOCKレベルの耐衝撃性能は持ち合わせていません。
一方、G-SHOCKは当時すでに新製品を求めて長蛇の列ができるほど大成功を収めていたものの、どれだけ耐久性があろうが樹脂製の時計ではカジュアルな印象は拭えず、同じような高いスペックを持ちながら高級感ある時計を求める声はカシオの開発陣まで届いていただろうと思います。
初代G-SHOCKを愛用した若者たちが大人になっていくように、G-SHOCK自体も製品とブランドの双方において、大人が身に着けるに相応しい時計へのレベルアップを求められたのは必然の流れだったのでしょう。
度重なる落下衝撃実験の末、ベゼルとガラス、ケースの間に衝撃吸収材と特殊なパッキンを入れたバンパー構造にすることで従来のウレタン製G-SHOCKと同等の耐衝撃性を実現したメタルウォッチは、「Majesty=威厳」「Reality=本物」のイニシャルを用いて「MR-G」と名付けられました。
完成したMR-Gは通常のG-SHOCKの5倍の価格となりましたが、コンセプトに共感したファンのおかげでセールスも好調となり、その後は最上級のG-SHOCKとして定期的にリニューアルを繰り返す定番シリーズとなっていったのです。
MR-Gのこだわり
MR-Gがその他のG-SHOCKと大きく違うところは、頑丈さと美しさを高次元で両立させるため、目にとまるパーツの素材選択から仕上げ加工においても一切の妥協を許していない点です。
例えばケースを構成する金属パーツは一つひとつ職人の手作業によってゆがみのない面を形成するためのザラツ研磨*1が施され、MR-G特有のシャープな造形を実現する下地となっています。主な金属素材には深層硬化処理済のチタンをベースに、更に表面の着色と耐摩耗性向上のためのコーティングを施すことで、シルエットの美しさを長く保つことができるようになっているのです。
また、MR-Gを語るときに欠かせないのが国内唯一の生産拠点である山形カシオの存在です。
過去にG-SHOCK初号機を生み出すなど、常識にとらわれずにチャレンジする姿勢が受け継がれている山形カシオでは、最先端のテクノロジーと最高レベルの匠の技を融合させることでフラッグシップモデルであるMR-Gを作り出しています。
MR-Gの文字盤では細やかな模様の使い分けに目を見張ることになりますが、これは山形カシオが誇る1mの10億分の1レベルで凹凸形状を施せる「ナノ加工技術」によるもの。同技術で作られる極めて精密な金型によって、樹脂製でありながら金属と見紛うほどに高級感のある文字盤が完成します。
更に山形カシオには、熟練の技術をもった職人が組立・調整を行う「Premium Production Line」エリアも設置されており、高度なオートメーションと人の手が組み合わせられることによってMR-Gがひとつひとつ丁寧に組み立てられているのです。
*1スイスのザラツ兄弟社製の研磨機による研磨作業。金属表面の最終仕上げ前に下地処理として行い、優れた職人の手によってゆがみのない平らな面を作ることができる。
体感するならこのモデル

MRG-BF1000R-1AJR「フロッグマン」
G-SHOCKの数あるモデルの中でも高いスペックと特徴的な左右非対称のデザインで屈指の人気を誇るダイバーズウォッチ、フロッグマンをMR-G仕様として再設計したモデルです。ケースやリューズなどの主要パーツに加え小さなビスまでもチタン材に変えながら、高い耐衝撃性とISO規格200m潜水用防水に対応する高気密製を確保しています。
装着されるフッ素ラバー製のデュラソフトバンドは汚れや経年劣化に強く、そのしなやかな着け心地は同価格帯の高級時計ブランドのラバーに勝るとも劣りません。
2023年に発表されたあと、すぐに同年のシリーズ内売上No.1の座を手中にしている、名実共に現在のMR-Gを代表するモデルです。

MRG-B5000B-1JR「オリジン」
2023年に誕生40周年を迎え、腕時計として初めて立体商標登録されたG-SHOCK初号機「DW-5000C」のデザインを、最上級の素材と仕上げを用いてバージョンアップさせた初号機ファン垂涎の一本です。
耐衝撃性はそのままに入り組んだ形状の部分にもMR-Gとしての上質な仕上げを施すため、ケースは25個ものパーツから組み立てるマルチガードストラクチャー構造としています。

パーツ間にサスペンションパーツや緩衝体が組み込まれるマルチガードストラクチャー構造が採用されている。
ベゼルには東北大学を中心に開発された、純チタンの約4倍の硬度と貴金属に匹敵する輝きを放つ金属「コバリオン」を採用、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理によりケース・ブレスレットと合わせてG-SHOCK初号機を思わせるオールブラックに仕上げられています。

MRG-B2000B-1AJR「勝色」
全てのモデルがメイドインジャパンのMR-Gは、他のG-SHOCKシリーズにはない日本の伝統的美意識を取り入れたデザインにも特徴があります。
このモデルには鎧や甲冑などに見られた「勝色」という濃い紺色が差し色として用いられていて、リューズやインデックスなどのゴールドカラーとのコントラストが地のブラックに映える、力強さと華やかさが共存する印象的な色使いの一本です。
文字盤は山形カシオが誇るナノ加工技術によって作られており、三角形が連なる「鱗紋」や扇・屏風をイメージしたカット面が日本古来のモチーフとして緻密に盛り込まれています。
まとめ
ここまで本コラムを呼んでいただいた方は冒頭で掲げた疑問であるMR-Gの価格の理由がお分かりいただけたのではないでしょうか。
ケース・ブレスレットに用いるチタン素材の選定と表面仕上げ、(樹脂製でありながらも)立体的で豪華さと繊細さが感じられる文字盤、いずれも高級時計製造で採用される方法であり、ここまでの手間隙をかけるならば最早ひとつの別ブランドとして独立してもいいほどに思えます。
誤解を恐れずに言うのなら、MR-Gは「高額なG-SHOCK」なのではなく、「限界まで耐久性を高めた高級時計」と呼ぶ方が正確かもしれません。

G-SHOCKが誕生して40余年、世界的に高品質な時計としての認知度・信頼性も高く、既に他社にはない確固としたブランドイメージが出来上がっています。
歴史あるモデルの「オリジン」や「フロッグマン」はもちろんのこと、日本の伝統モチーフを纏った「勝色」や「赤備え」も含めて他社ではなし得ない、ひと目で分かるMR-Gならではのアイコンモデルと言えるでしょう。このようにオリジナリティあるMR-Gは、名だたる高級ブランドの定番モデルと並べて比べると、かえってその魅力が浮き彫りとなって感じられるはずです。
G-SHOCKを生んだ品質ファーストの国民性、他の国にない島国ならではの独自の歴史と文化、先端技術の開発力と職人技への敬意の融合、どれひとつが欠けてもMR-Gは存在しなかったはずです。日本だからこそ生まれた高級時計の理想型がMR-Gなのですね。
金正堂本店は青森・秋田両県では唯一MR-Gを取り扱いできるカシオウォッチコンセプトショップとなっております。大人になっても挑戦し続ける気持ちを失わず、タフガイで居続ける方にはぜひ金正堂本店でMR-Gをお試しいただきたいと思います。
